感想にっき

見たものの感想を書いたりする BLの話もでます カップリング思考がガバガバです

グランド・ブダペスト・ホテルをみました


BGMがずっとメディテレーニアンハーバーっぽいなと思っていた。
とにかく画面がわくわくエンターテイメント! とにかくかわいい! 色鮮やかで左右対称でセンタリングされてぬるぬるうごいいてキビキビしたカメラワークと芝居がかった動き、早口のテンポいい会話、ディズニーランドの中にいるみたいにかんぺきに作り込まれた夢見る世界だった! あんまりこんなに絵作りにこだわった(ファンタジー世界を大自然ロケで再現!とかはあるけど)お話見たことなくて…見たことあるのかもしれないけどあまりたぶん意識できてなくて…開始5分で好きになっちゃった。見てるだけで元気出ちゃう。アスペクト比? がいっぱい変わるのも面白かった!! 随所にこだわりを感じた…
小説家が語り手だからなのかな この監督の持ち味? その美しい世界と突拍子もないところとわりと現実的なところがうまく融合されててすっかり引き込まれちゃった 最後までどう終わるかわからなかった…。
ちゃんと語られているのに無音映画みたい
動画なのに写真集みたい
きらきらピカピカの非日常の世界の中で進行するグスタヴのはちゃめちゃな逃走劇!
いちいち画面のおさまりがいいんだよね。
エレベーターの中とか…スチームから落ちてきたところとか…
でも割と容赦なく人は死ぬ…猫も死ぬ…
でもグロみはないて、指も粘土細工のようにおちていた アガサの死体は偽造したのかな?
「かわれ」の繰り返しもグランドブダペストのグスタヴか?の繰り返しもああいうの好きだからニコニコしちゃった…
コメディってあったけど、ちゃんと物語してるじゃん〜香水のくだりが繋がってくじゃん〜って思ったけどスキーで滑り降りてマリア像ぶっ倒してソリで追うところはよかった スキークッソはやいし 唐突に銃撃戦はじまるし…最後ずっとハラハラドキドキしてた ふたりが箱の海に落っこちるところ美しすぎて息を飲んじゃった…
オチ、意外とさっくりハッピーに終わるじゃん!って思ったけどそこで終わりじゃなかった…そっからまた泣いちゃった…。
あのめちゃくちゃ綺麗な世界から急にモノクロになるの悲しすぎじゃない?夢から覚めちゃう感じ…

小説家の話かと思ったけどホテルの話で、ホテルの話かと思ったらオーナーの話で、オーナーの話かと思ったけどグスタヴの話だった。
不安で虚栄心が強く、軽薄で金髪で寂しがりやで、夫人の死に駆けつけるのは愛していたからに見えて遺産の話がちらつくし、もらった絵も一生とっとくとか言ったけど一瞬で売ろうって言うし…
彼はホテルマンとしての仕事ぶりは完璧だけど、同時に上客(老女)はべらして愛を囁き、どうみても寝てる。どう見ても寝てた。あとわりと口が悪い。
でもけして悪人じゃなかったし、グランドブダペストホテルを愛してた…んだとおもう。身寄りのなく学もなく経験もなく、ヒゲを手書きしている(これ歳とかもごまかしてたのかな)ロビーボーイのゼロが、グランドブダペストホテルを誉めた瞬間採用を決めたし、列車で軍に国籍のないゼロを連れていかれそうになったとき、損得なしで立ち向かっていた。
その時、グスタヴを助けた軍人はかつてかわいがったホテルの客の息子だったし、おかゆを配った(まあこれは仕事なのかもだが?)囚人は脱獄を見逃してくれた。
親切の返ってくる世界が好きなので毎度泣いてしまった…
脱獄したあとも(ここで喋るな!逃げろ!と思ったが)ゼロの生い立ちを聞いて自分の暴言を悔やむし、ホテルに代わって謝ってくれる。
そしてさいごのさいご、すべてを手に入れたグスタヴは、ゼロを護ろうとして撃たれてしまう。文明の灯火の暴力の前にかすかなこと…正直結婚式で立会人やらせてが達成された時点で嫌な予感していたが…戦争批判的な側面もあるのかな…
それでさいごのさいごに明かされた、「彼の世界は彼がきた時には終わっていた でも見事に幻を維持していた」のひとこと これって戦争は近づいてとっくにホテル業界は下火になってたけど、グスタヴが頑張ってあのきらきらのホテルを維持してたってことだし、上客と寝ることで客入りをキープしてたってこと…?
全力尽くして愛した世界を守った男グスタヴ…いとおしくて胸がいっぱいになっちゃった…
でもたぶんも少しお国柄的な事情とかもあるんだろうな…知識が足りない…でもそれでも面白かった!
画面がとにかく美しく、テンポよく、ツッコミどころに笑いどころもあるけどやさしくて、さいごはほろ苦くも胸にふかく響くお話でした。
みれてよかった☆

おしまい